読書 「パリと娼婦たち」他2冊

フランス・パリとその娼婦に関する3冊の本を紹介。
フランスやその首都パリの娼婦は映画や小説で
今までかなり描かれてきた。
では、その実像はどうなのだろうか。
そんな疑問を解消してくれるのはこれらの3冊の本である。

ロール・アドレル(Laure Adler)著
高頭麻子翻訳
「パリと娼婦たち 1830‐1930」
1992年10月河出書房新社刊行
 世間の、男たちの、娼婦に対するノスタルジックなあるいは
エロティックな思い入れを打ち破き、世界最古の職業に従事
する女性たちの日常生活をいきいきと描いた話題作。
(本書紹介文より抜粋)

鹿島茂
「パリ、娼婦の街 シャン=ゼリゼ」
2013年10月角川ソフィア文庫刊行
シャンゼリゼブローニュの森、アパルトマン。資本主義の発達と
共に娼婦たちが街を闊歩しはじめた。あらゆる階層の男と関わり、
社会の縮図を織りなす私娼の世界。19世紀のパリを彩った
欲望の文化に迫る。
(本書紹介文より抜粋)

鹿島茂
「パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ」
2013年10月角川ソフィア文庫刊行

19世紀、パリ。夜の闇に光る赤いネオンサインで、男たちを誘う
娼婦の館があった。メゾン・クローズ(閉じられた家)とは、
どのような場所だったのか。そこに集う娼婦や紳士たちは、
いかなる饗宴を繰り広げていたのか。
数々の文学作品や歌劇の中で妖しく魅力的に描かれてきた娼婦たち
の真実と、これまで明らかにされることのなかったメゾン・クローズ
の深部に迫る。貴重な写真や資料をもとに社会を読み解く、
画期的な文化論!
(本書紹介文より抜粋)

古今フランスや仏語に興味を持ち、また実際にフランスやパリを訪れる
のは男では決してなく、大半が女である。しかしその女の口からは
(少なくとも我が国日本においては)決してこのような(社会の恥部
タブーと認識される)ことを書かれることは滅多にない。
ロール・アドレル著の「パリと娼婦たち 1830‐1930」と鹿島茂
二著作は重複する部分があるが、鹿島茂は過去20世紀のパリで娼婦を
実際に買った日本人男性の記録をも紹介している。
このような人類最古の職業に関し、フランスやその首都パリにおける
娼婦に関する著作が日本では殆ど書かれてないのでこのような著作は
貴重とも言える。
初めて聞く話もあったが、この辺の職業に関し、世界どこでも、
日本でもシステム自体は殆ど同じようなものだというのがよく判る。
疑似恋愛(キャバクラやクラブ等)と抜き(射精や性行為)産業が
分化しているのは日本だけという考察が書かれている。
これも文化の差異であろう。日本は世界でも独自路線を貫き、
それがこの日本、日本文化を創っているのであるが、この性風俗
分野でも日本は独自路線である。

メゾン・クローズに関する下記のフランス制作のドラマはまだ未見。
Les maisons closes de Parisはフランス人の作家Alphonse Boudard
(娼館に関する著作有)によるパリの売春宿の案内、
彼はその動画の中でメゾン・クローズのガイドブック的存在の業界向け
の年鑑「Guide Rose」のページをめくっている。

[Trailer] メゾン・クローズ 娼婦の館
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/scCCNhw8yA0

Les maisons closes de Paris | Archive INA
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/n6_MzZP60fA